視覚的構造化(変化が苦手な子の対応1)
なぜ視覚的構造化をするべきなのか
例えば足の踏み場もないような物が散乱してどこに何がわからない部屋の中から目的の書類を探すところを想像してみてください。時間と労力がとてもかかってしまうでしょう。当たり前の話ですが環境はあらかじめ整理整頓されてある方が作業がしやすいのです。
地図も案内板もない東京駅で目的のホームに辿り着く、なんてことも東京駅に一度行ったことがある人ならどれだけ難しいか分かると思います。案内板や標識があるかないかで目的地への移動する難易度が大きく変化します。人は行動する時に何もヒントがない状態では適切な行動を取ることが難しくなるのです。
大人でもそうなのですから、子どもにとって「おもちゃを片付ける」「部屋を整理整頓する」「目的の場所に移動する」時にはたくさんのヒントがある環境がないとうまくいきません。分かりやすい環境を用意して上げることが成功へのヒントとなります。
パッと見て分かる。そういう環境を作ることが、保育でも教育でも、そして子育てでも基本となる大事な考え方なのです。
視覚的構造化が有効なタイプとは
基本的には年齢が低ければ低いほど、知的に低ければ低いほど、パッと見て分かる環境を作ることは有効です。
言葉を読めないとか言語理解が苦手な子にも有効です。外国籍の子どもに対しても必要な支援となることがあります。私たちが外国に旅行に行ったとして、全て読めない言語で書かれていたら何をどうすればわからない上にかなりのストレスを感じます。それと同じことが園や学校で起こっているかもしれないのです。
自閉スペクトラム傾向のある子にも有効とされています。聴覚刺激より視覚刺激の処理のほうが得意な子にも有効です。例えば喋るのは苦手だけど本を読むのが好きとか、そういうお子さんですね。
視覚的構造化の具体的なやり方
基本的には子どもに対して言葉で伝えるとか頭の中で考えさせること「だけ」の指示をすることをやめましょう。絵や写真や図や文字や映像つまり視覚情報を活用します。
これらは一例ですが、目に見えて分かりやすくする環境を作るのであれば、何でも構いません。専門家の使う構造化とは若干違うかもしれませんが現場で使いやすいものをここでは挙げています。
変化が苦手な子からすると「いつもは教室で授業するのに今日は場所が違う」という状況は対応しにくいわけですが、そこで視覚的構造化を使います。1日の授業の予定と場所が書かれたものを貼っておくことでイメージを持ちやすくなって適切に対応しやすくなります。そういう感じです。
先ほどの例を使って、考え方をもう一度整理しましょう。
視覚的構造化は変化が苦手だったり言語指示の理解が苦手な子どもたちは失敗体験を減らし、人と人の勘違いを減らし、考えるという労力と集中力を減らします。
その結果、成功体験が増え、人と理解し合って共感体験が増えます。そうすればさらに遊びや勉強に集中力を向けることができるようになります。
片付けの場所や予定など「暗黙のルール」「文字情報」を絵や写真を使った環境設定に変換すること。たったそれだけの工夫で生活環境と学習環境が整う子がいるのです。
補足
視覚的構造化は手間がかかります。めんどくさがらずに時間をかけて環境を整えていきましょう。教育の基本は大人が体を動かすことです。ついつい子どもを言葉で叱ることで仕事をした気になってしまいますが、まずは大人側ができることを最大限やりましょう。
大人が努力をする前に安易に子どもを評価してはいけません。環境を整えることが保育と教育の基本です。
それから、何でもかんでも視覚情報を環境に作っておけば良いわけではありません。忘れ物が多い人が玄関のドアに「〇〇を忘れない!」というメモを貼っていても風景みたいにメモを見落とす、そんなことありますよね。
必要なところに、最低限の情報を効果的に設置する。どうすればいいかは1人で考えず、複数人で話し合って決めると良いと思います。
今日の一言

環境を整えることが保育と教育の基本です。
理解が深まれば子どもへの愛情が深まります。
それでは、またお会いしましょう。


