リハーサル(変化が苦手なこの対応7)
こんにちは。今日はリハーサルについてお話しします。この変化が苦手な子の対応シリーズは、結局のところ、事前準備が大事だという話になっています。リハーサルも事前の準備であり、子どもへの配慮です。それでは解説していきましょう。
なぜリハーサルをするべきなのか
人は経験したことがないことに直面した時、過去に経験したことを基準に考えて対応しようとします。つまり、これから行うことを予行練習(リハーサル)しておくだけで本番の不安軽減や成功確率の上昇が見込まれまるのです。
例えば初めて行くスーパーをイメージしてみてください。どこに何が売っているのか、何が安いのか、どこがレジなのか分からないので時間がかかったり、無駄な動きや労力がかかったりします。一度でも経験していれば、不安は減り、ある程度スムーズに買い物ができるでしょう。
リハーサルは言い方を変えれば「経験しておく」ということですので、必要性が理解しやすいと思います。
リハーサルが有効なタイプとは
変化が苦手なタイプの中でも、初めての経験が苦手なタイプに特に有効です。自閉スペクトラム傾向の子にももちろん有効です。
年齢が低ければ低いほど有効ですし、様々な経験が乏しいタイプにも有効です。
リハーサルの具体的なやり方
リハーサルをしておいた方が良い場面を確認しておきましょう。
事前に慣れておくことが大事なわけですが、上記で示したとおり、やってみると良い場面はたくさんあります。
実際にそこに行ってみる、やってみる、会ってみるのが一番有効ですが、上記で例を示したとおり、写真や映像を見せるのも効果があります。
オンラインで遠足の場所の下見もできますし、昨年度の体育祭の画像を見てイメージを膨らませることもできますよね。良い時代になりました。
実際の体験に近い経験を積ませる工夫が大事ですので、リアリティをできるだけ感じるような体験が望ましいです。オンラインよりは実際にその場所で体験した方が情報量も多く、本番での対応応力も高くなりやすいです。
基本的には変化が苦手な子にはリハーサルをうまく使うと良いのですが、慣れてきたら少しずつリハーサルなしの体験も積ませていきましょう。いつまでもサポートするのではなく、必要のなくなったサポートは徐々に引いていくようにします。
一度その支援方法を使うと、それをずっと行い続ける支援者が残念ながら数多くいます。保育士や教員の中には「この子にはこれが良い」と決めつけてずっと同じ対応をする人がいるのですが間違いです。
どんな子でも成長します。どんな料理が下手な人でもやり続ければ上達しますが、それと同じです。もちろん劇的に料理が上手くなるということは稀ですが、初心者レベルではなくなることはよくあるでしょう。
リハーサルが有効だった子も、たくさんの経験を積んでいけば、いつかは大人のサポートが必要なくなります。常に子どもの状態を見極め、本当に必要なサポートかを吟味していくようにしましょう。
また、可能であれば自分で検索してリハーサル体験ができる子どもに育てていけると良いでしょう。
自分の弱点を知り、自分でその弱点を補えるようにすることが大切です。どうしても保護者や教師や保育士は支援や配慮が必要な子どもに対し「やってあげる」ことを良しとする傾向にあります。
義務教育中はそれで良いかもしれませんが、いつまでも親がサポートできるわけではありません。社会人になってまで職場に保護者が関わるのかを考えてください。多くの場合、いつかは1人で乗り越えていく力をつけていく必要があります。
また、反抗期というか思春期になって急に子どもが保護者や教師のサポートを嫌がることも多々あります。そうするとサポートができずに失敗や不適応が増え、学校に行けなくなったりすることもあります。
大人ありきで解決していくのではなく、自分で乗り越えていけるような力をつけてもらうように関わっていく必要があるのです。
補足
リハーサルが多くの子どもたちに有効なのは間違い無いのですが、何でもかんでも先に経験させようとする保護者の方に会うことがあります。
幼児期の就学前教育もそれの一つだと思いますが、先に経験していくということは他の子に比べ「感動が薄くなる」というデメリットがあることは理解しておきましょう。
「ああ、それ知っているし」というだけで興味を失うタイプの子どもがいるのです。つまり、新しい経験や他人より先に知っていることに価値を感じるように育ってしまった場合です。
就学前教育を必要以上に受けた子どもは小学校入学後に「すでに習っているから」という理由で集中力が低下したり学校を楽しく感じないというデータがあります。
経験しておくことが絶対にプラスに働くわけではないことは覚えておきましょう。子どもの状態や能力に応じて使い分けてください。
今日の一言

ずっと同じ支援をするのではなく、常に必要かどうかを吟味し、成長を感じてきたら少しずつ支援の手を緩めていくようにしましょう。
理解が深まれば子どもへの愛情が深まります。
それでは、またお会いしましょう。


